再会は光の中で~ひっそりと子育てしていたら、あなたの愛に包まれました~
「あぁ、いえ別に。知人がここに住んでいると聞いたので。しかし、今日は外出しているようなので、また出直すことにします」
そう答えると、女性がこちらに詰め寄るように見つめてきた。
「その知り合いは、何号室なの?」
「いえ、もう失礼するので」
「あんたが見てたのは、203だろ。ずいぶんと高級そうなスーツを着てるし。あの子にも、こんな知り合いの男性がいるんだねぇ」
「男性って、彼女は三人暮らしですよね」
「いや……お兄さんが時々子どもの面倒見に来てるけど、ウチには二人で住むって契約してるよ」
「二人……?」
兄という言葉を聞いてハッとした。彼女が取り繕ったように夫と言った男性、不自然な態度だったが、あれが彼女の兄だったら……。
「詳しく教えて下さい。彼女は……」
「もしかして、あんたがあの子の父親なのかい?」
そう尋ねられて、点と線が一気に繋がった。こんな場所で一人暮らしをしている。そして兄が時々面倒を見ている。初めて亜澄を抱いた夜から、あの子が生まれる可能性は限りなく近い。
やはり、彼女が連れている娘は俺の……?
「何か訳アリそうな話だねぇ。あの子のことを詳しく知らないのに、ここへ訪ねてくるんだからさぁ」