再会は光の中で~ひっそりと子育てしていたら、あなたの愛に包まれました~
イベントスペースに現れた女性の姿を見て、一瞬世界が止まった。髪は後ろで束ね、メイクもほとんどしていないが、かつてあった柔らかな表情と優しい眼差し、清楚な雰囲気は何も変わらない。
やはり、亜澄だったのか……。
一緒にいるあの子は……まさか、あの夜にできた子どもなのか?
年齢的にはピタリと符合する。それとも俺の元を離れて、すぐに誰かとつき合ったとでも? しかし、亜澄はそんなタイプの女性ではない。
カメラが回っている中で物思いにふけっている場合ではなかった。必死で頬を緩ませると、何事もないように装う。
まさか、こんな形で再会するとは……。
娘がいるということは、隣には夫となる男がいるはずだ。しかし、名簿には二人の名前しか書かれてはいない。
どちらにせよ、亜澄と話がしたかった。
声を聞きたい……そして、できることならもう一度抱きしめたい……。
亜澄ともう一度会うために、仕事の調整をつけて、記された場所を訪ねた。
住所にあるアパートは築四十年は経過していそうな、少し古びた木造の建物だった。三階建てで、一階は大家が住んでおり、二階から上がアパートとして貸している部屋らしい。203の辺りを見上げていると、目の前に高齢の小柄な女性が現れた。
「あら、見慣れない顔だわね。ウチに何の用?」