イケメン俳優パパ『生田 蓮』に恋をして――。
「もしもし」
トイレのドアは閉めたけれど、一応声が漏れないように、ささやくような声で私は電話に出た。
「もしもし、あの、柚希ちゃん寝かせてる途中だったとか、忙しい時間にかけてしまったのでしたら、すみません。お時間、今大丈夫ですか?」
彼も私と同じようにささやくような声。きっと寝てる斗和ちゃんに気を使っているのかな? それとも、彼女さんにバレないように?
「いえ、大丈夫です。私の方こそ、なんか変なLINE送ってごめんなさい」
「いえ、僕の方こそ、色々本当にごめんなさい。あの、僕と夏葉は……」
『夏葉』。あの女優さんの名前だ。呼び捨て。改めてその親しみ込めた呼び方に、ふたりは特別な関係なのだと思い知らされる。真実を語られるのが急に怖くなり、私は彼の言葉を遮った。
「あの、私たち、今日みたいにこうやって会わない方が、良いですよね? 彼女さんだってあんまり良く思わないとおもうんです。私も元旦那にコソコソやられてて、すごく嫌だったので……」
「いや、違うんです。彼女とは……」
「LINEも、ご飯を食べに行くのも辞めて、でも、保育園で会った時は普通に話したいかな? なんて、私ワガママですね、すみません」
どうしよう。このまま話していたら絶対に泣く。彼に涙声なんて聞かせたくない。
「すみません! そろそろ私、寝ますね! おやすみなさい」
一方的に話して、一方的に電話を切ってしまった。
トイレの中で崩れ落ちる。
本当は、今日みたいに会いたいし、ご飯も一緒に食べに行きたい。LINEだって、今よりも沢山したいし。実際、毎日いっぱいいっぱいな生活の中で、彼の存在が心の支えにもなっているし。
言いたいこととは逆のことを言ってしまうし、嫉妬、妬み、良くない感情も絡み合ってくる。
こんなに面倒臭くて、でもその存在が支えで、愛しくて。
恋愛でこんなに乱れたのは初めてだ。
しんどい。
苦しい。
心が痛む。
声を押し殺して思いきり泣いた。
手に届く場所にあるトイレットペーパーで溢れ出てくる涙を何回も拭いた。
今の私は恋に焦がれるだけの女だ。
朝起きたら、きちんと柚希のママに戻らなきゃ。
なんとか立ち上がり、私は寝室に戻った。
トイレのドアは閉めたけれど、一応声が漏れないように、ささやくような声で私は電話に出た。
「もしもし、あの、柚希ちゃん寝かせてる途中だったとか、忙しい時間にかけてしまったのでしたら、すみません。お時間、今大丈夫ですか?」
彼も私と同じようにささやくような声。きっと寝てる斗和ちゃんに気を使っているのかな? それとも、彼女さんにバレないように?
「いえ、大丈夫です。私の方こそ、なんか変なLINE送ってごめんなさい」
「いえ、僕の方こそ、色々本当にごめんなさい。あの、僕と夏葉は……」
『夏葉』。あの女優さんの名前だ。呼び捨て。改めてその親しみ込めた呼び方に、ふたりは特別な関係なのだと思い知らされる。真実を語られるのが急に怖くなり、私は彼の言葉を遮った。
「あの、私たち、今日みたいにこうやって会わない方が、良いですよね? 彼女さんだってあんまり良く思わないとおもうんです。私も元旦那にコソコソやられてて、すごく嫌だったので……」
「いや、違うんです。彼女とは……」
「LINEも、ご飯を食べに行くのも辞めて、でも、保育園で会った時は普通に話したいかな? なんて、私ワガママですね、すみません」
どうしよう。このまま話していたら絶対に泣く。彼に涙声なんて聞かせたくない。
「すみません! そろそろ私、寝ますね! おやすみなさい」
一方的に話して、一方的に電話を切ってしまった。
トイレの中で崩れ落ちる。
本当は、今日みたいに会いたいし、ご飯も一緒に食べに行きたい。LINEだって、今よりも沢山したいし。実際、毎日いっぱいいっぱいな生活の中で、彼の存在が心の支えにもなっているし。
言いたいこととは逆のことを言ってしまうし、嫉妬、妬み、良くない感情も絡み合ってくる。
こんなに面倒臭くて、でもその存在が支えで、愛しくて。
恋愛でこんなに乱れたのは初めてだ。
しんどい。
苦しい。
心が痛む。
声を押し殺して思いきり泣いた。
手に届く場所にあるトイレットペーパーで溢れ出てくる涙を何回も拭いた。
今の私は恋に焦がれるだけの女だ。
朝起きたら、きちんと柚希のママに戻らなきゃ。
なんとか立ち上がり、私は寝室に戻った。