イケメン俳優パパ『生田 蓮』に恋をして――。
「江川さん、ずっと隣にいてほしい、です」

 私の心臓の鼓動が速くなる。
 これは現実か、夢か?

 もしも夢なら、これ以上、変な期待が膨らまないうちに、目を覚ましたい。

 私が何も言えないでいると、彼は言葉を続ける。

「でも、江川さんは自分みたいな人、嫌ですよね?」

 何を言っているの? 嫌じゃない、嫌じゃないのに動揺しすぎて言葉が出てこない。

「ごめんなさい、忘れてください」

 このままでは、せっかく彼の心が近くに来てくれているのに、離れてしまう。

 私は深呼吸した。
 そして想いを伝えた。

「嫌なわけないじゃないですか! 外見は完璧だし、優しいし、子供想いだし、頼れるし、それに、一緒にいると幸せだし! 嫌いな要素、ひとつもないです! もう大好きすぎて、私は爆発しそうですよ! 壊れちゃいそうですよ!」

 伝えているうちにどんどん気持ちが高まり、声も大きくなっていく。もう最後辺りの言葉は、言いながらわけが分からなくなっていた。

 伝えるのと同時に、心の中のモヤモヤと涙が、一緒に地面へと落ちていった。

 呆然としながら彼は私をしばらく見つめていた。それから、はっとした表情になり、時間を確認した。

「江川さん、このタイミングで、あれですが、お迎えの時間です!」

 私は時間を確認する。

 十七時三十分。一応私が通っている保育園では基本、十八時までにお迎えに行くことになっている。それよりも遅くなる場合は延長保育となり、園に連絡しなければならない。

「ギリギリですね! 江川さん、急ぎましょう!」
「はい!」
 
 急いで車に乗った。
 運転しながら彼が言う。

「他に何か質問はありませんか?」

 質問、質問……。
 ありそうなのに、急で何も思いつかない。

 しばらく沈黙が流れてから彼が言った。

「江川さん!」
「はい!」
「恋人になってくれますか?」
「はい、生田さん。よろしくお願いします!」

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