イケメン俳優パパ『生田 蓮』に恋をして――。
 プロポーズを受けた時、私には不安があった。こんなイケメン人気俳優と結婚したら、ファンの人たちを始め、世間からはどう見られるのだろうと。よく思われない気がして怖かった。

 その気持ちを隠さずに話すと、彼は「まかせてください!」と自信満々に言った。彼がそう言うと、いつも安心する。

 彼は、事務所と協力して、一般人と付き合っていること、とても仲が良いこと、そして良いパパっぷりをさりげなく世間に広めていった。それから色々調整し、マスコミを通して『結婚報告』を世間に。

 普段の彼の人柄がそうさせたのだろうか。
 世間は私たちを祝福してくれた。

 業界人やマスコミも、私たちがプラスになるようなコメントや報道ばかりをしてくれた。

 それから私たちは結婚し、新しい命も授かった。

 ちなみに彼は、父親役を演じる機会が増え、更にイメージアップした。

 いつも彼のスパダリぶりを実感していたけれど、羽花が産まれたばかりの時は凄かった。彼がお仕事休みの日は、ほとんどの家事育児をしてくれて、私の身体を休ませてくれた。産後しんどかったから、本当にありがたかったな。しかも「今日は心身共に余裕があるから、私、休まなくても大丈夫ですよ」と言うと「じゃあ、何か好きなことしててください! 葵さんも、ママである前にひとりの人間なんだから、やりたいことあるでしょ? あ、でも特にないのならこの発言、すみませんでした」と。とにかく優しい。

 あと、表ではそれを感じさせないけれど、彼は裏で色々頑張っている。彼のレベルだったら、一回台本読んだだけで、完全に台詞とか覚えて演じれちゃうのかな? なんて思っていたけれど、それは違った。ひとつひとつの台本に赤文字で気をつけなければならないこととかびっしり書いてあるし、台本何ページも続く長い台詞はノートに何回も書いて覚えるらしい。

 お芝居とかの勉強ノートも沢山あった。それを読むのが楽しい。彼は読まれるの、恥ずかしがっているけれども。

 ちなみに、子供たちが眠った後「じゃあ、行ってきますね!」と二階にある将来子供の部屋にする予定の、今は何もない部屋で彼は静かに毎日レッスンしている。

 そんな陰の努力を知ると、ますます好きになっていく。
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