彼女は僕を見てくれない
section1

6月の教室

高校生になって早3ヶ月、、
6月中半の教室はじめじめした空気で
汗ばむ暑さだった。

「一限目は、、数学か…」

鞄から数学のテキストとノートを出して
昨日出された宿題の確認をした。

「ひーなーた!」

右肩に何か当たって振り向くと、尚輝が立っていた。

「なおか、おはよ。宿題ちゃんとやってきた?」

「え、?そんなのあったっけ?やばー!忘れた!今すぐやんなきゃ!!」

「馬鹿だなぁ…ほら、これ、ノート」
「まじ?!ありがとうー!愛してる!!」

呆れたような笑みを見せて、窓の外を眺めた。平凡な毎日だけど、友達も居て、
毎日馬鹿やって…それなりに楽しい高校生活を送っていると思う。

あ…あの人、、

窓の外に映る1人の女子生徒に目が行った。

「ふぅー!終わったー陽向、ほんっとにありがとう!って…ん?誰見てんの?」

「え、あーいや、あの人。 乃々華先輩…だっけ?相変わらず目立つね」

ポツリと、その女子生徒を見ながら言った。

「え?!まじ?!ののちゃん先輩居んの?!どこどこ?!うっわーまじじゃん。やべー可愛いー抱きしめたいぐらいだわ!」

窓の外に顔を出して大きな声で尚輝が言った。
本人に聞こえたらどうするんだ…

「お前…''ののちゃん"呼びなんかしてんの?ていうかよくそんな気持ち悪いこと大声で言えるよな…」

「なんだよ!!気持ち悪いって!健全な男子高校生なら当たり前に思うことだろ?!それにちゃんと"先輩"ってつけてるから」

「そ、そう…僕にはわかんないや笑」

直接的な繋がりはなかったけど、顔と名前だけは知っていた。

学校のマドンナ 『内山 乃々華』先輩

誰もが息を呑む程の美少女らしく、おまけに成績優秀、スポーツ万能…なんでも完璧。らしい…、、あまり興味はなかったがあまりの有名さに噂は耳にしていたし、何度か先輩の事は目にしていた。

でもあの先輩、笑った所見たことないんだよなぁ…

どことなく 関わりずらいイメージを持っていた。

まぁでも…僕なんかがあんな可愛い先輩と関わる機会すらないか。

教室に日が差す朝、チャイムが鳴った 。



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