放課後の音楽室で
コーヒーのおかわりを飲みたくて、リビングへ行くと、ちょうど新田さんは電話をしていた。

私を見るなり、電話に向かって

「少々お待ちいただけますか」

と言い保留にすると、コーヒーを淹れる私のそばにきた。

「ちょうど、上田さんのお母様からお電話です。出られますか?」

上田くんの?きっと、文乃の事だろう…。

頷き、子機を受け取って、電話に出た。

「…お電話変わりました。初めまして、文乃の父です」

「初めまして。上田圭介の母です」

上品で落ち着いた口調の聞き取りやすい声のトーンの上田くんのお母さんは、そう言って言葉を続けた。

「今日は、息子が失礼な態度をとってしまったようで申し訳ありませんでした」

「いえ、私の方こそ、少々感情的になってしまってお恥ずかしい限りです。…娘は上田さんのお宅に…?」

「…はい。夜ご飯、こちらで食べて行きますので、少々遅くなりますがきちんとお送りします」

やはり。上田くんと一緒だったのか…。それにしても、急にお邪魔したにも関わらず、ご飯までご馳走になるとは…。

「ご迷惑おかけして申し訳ありません。ご飯を食べ終わった頃に私が直接車で迎えに行きます」

「そうですか。ありがとうございます。では、8時ごろには食べ終わると思いますので…。住所お教えした方がいいですよね?」

上田さんは、明るくそう言うと、住所を教えてくれた。

きっと、気さくな方なのだろう…。

電話を切り、パソコンで住所を入力して地図を出した。





< 76 / 120 >

この作品をシェア

pagetop