放課後の音楽室で
第13章 会話
「ご馳走様でした」

上田くんのお母さんの美味しいご飯を食べて、私は手を合わせた。

「最近、お父さんの帰りも遅いから、圭介と2人のことが多かったの。久々のにぎやかな食卓で嬉しかったわ」

上田くんのお母さんの嬉しそうな表情に、私まで嬉しくなる。

急に来たのに、こんなに優しく接してもらえるなんて…。

そういえば…

「上田くんのお兄さんは?」

「急に大阪に転勤になっちゃって。3月には戻ってくるんだけど」

そうだったんだ…。

「寂しくなるね」

「うん、まあ…」

認めたくないような、ぎこちない表情の上田くんの様子が可笑しくて、思わずクスッと笑ってしまう。

「文乃ちゃんプリン、食べてって?賞味期限今日までなの」

上田くんのお母さんはそう言って、有名な洋菓子屋さんのプリンとスプーンを私と上田くんの前に置いた。

「…上田くんのお母さんの分はありますか?」

「うん。ちゃんとあと2つあるの。遠慮しないで食べて」

「ありがとうございます」

ここのプリン、すごく美味しいんだよね。

「俺、このプリンも好きだけど、このお店だと、パンナコッタが1番好きなんだ」

「パンナコッタ?私、ここのお店のは食べた事ないな」

「おすすめだから、今度食べてみて」

「うん!」

パンナコッタ、どんなに美味しいんだろう。

とろけるプリンを堪能しながら、パンナコッタを想像した。



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