誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
「いいか、天音。結婚を了承してもらえ。それができなければどうなるかわかるだろう」

 いまだにこの家の全権は祖父で、その凍り付くようなその視線に私はギュッと手を握った。
 いつかこの家を出て、愛する人と出会う。その夢すら叶えることはできない。今そう宣言されたのだ。

「返事はどうしたの! あんたを育ててくれたのはおじい様とお父様よ。犯罪者の娘が!」
 さっきまで叔父と叔母に甘えた声を出していたとは同じ人間とは思えない、円花の辛辣な言葉にくやしさと悲しさで私は涙が零れそうになるのを堪える。

 それは無罪だと判決が出たはずなのに。
 そうは思うも、それを言ったところでどうにもならないことを、私はこの数年で学んできた。この人たちは私をひとりの人間としてみていない。

「わかりました」
 静かに答えると、祖父が表情なく私の元へと歩いてくる。
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