誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 入っていたのはハイブランドだが露出の高いブラックのワンピースで、色仕掛けしろとの言葉が頭を過る。

 私みたいな女らしくない体形に似合うわけないのに。自分専用に服などを買うことなどなかったが、まさかこんな服を渡されるなんてと自嘲気味な笑みがこぼれる。

 袖は薄手の透け感のある生地で、スカートは短く胸元も大きく開いていた。
 しかし、これを着なければ、私には外出できるような服はない。
 仕方なく、その服を着て鏡に映る自分を見つめる。ひとつに縛っていた髪をおろしてみても、かなりチグハグな印象しかない。まったく似合っていないその服を着て、一緒に用意してあったピンヒールを履くと、私は屋敷を後にした。

 似合わない服を着て、初めて履く高いヒールが靴ずれを起こして、歩くたびにかかとに激痛が走る。
 何のために生きていいるのだろう。そんな思いが沸き上がり、痛みすらどうでもいい気がしてきた。
< 22 / 44 >

この作品をシェア

pagetop