誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 それに彼の言っていることは正しい。どうしても見合いをして欲しいと無理を言ったのは宮下家にも関わらず、気に入らないという理由で断った。
 じゃあ、次はこっちの娘にしろなど、相手を侮辱する行為なのは誰でもわかる。

「おっしゃることはごもっともです」
 同意した私に少しだけ彼は表情を歪めたあと、あざ笑うように私を見る。

「いやに素直ですね。聞いていた話とは違うのかな?」

 聞いていた話? きっと円花があることないこと吹き込んだのかもしれない。しかし、どう否定するべきかわからない。

「どうか、少しだけでも考え直していただけないでしょうか」
 祖父にも叔父夫婦にも宮下の家にも、何の未練はないが、ここですっぱり断られてしまえば、祖父は激昂し何をするかわからない。今まで以上に屋敷に縛り付けられるかもしれない。

どうであれ宮下家からでられるチャンスだ。今はこれしかないのだ。あの家より酷いことになっても、もう私は驚きもしないしなんとも思わない。
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