誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
「様なんて呼んでいただく必要はありません。天音と」

 円花の対応もきっと彼女がしていたのだろう。そう呼ぶように言いつけられていたのかもしれない。私の返事が意外だったのか、少しキョトンとした表情を浮かべた後、松前さんは言葉を続ける。

「わかりました。それでは天音さんと呼ばせていただきます」

「ありがとうございます」
 宮下様などと呼ばれるぐらいなら、呼び捨てでもなんでも構わなかった。そのほうが気は楽だ。
 松前さんに連れてこられたのは、先ほどとは違う一般的な応接室のような部屋だった。
 窓の外には東京の街並みが見える。まったくいつもと違う景色だ。これからどうなるのだろう。不安で押しつぶされそうになりながら、言われた通りにソファに座るも、短いスカートから足が露出して心もとない。

 何度もスカートを伸ばす仕草をしていた私に、松前さんがブランケットを渡してくれる。

「ありがとうございます」
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