誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
「パソコンとスマートフォンですか?」
 かなり驚いた表情の彼女に、私はうなずくと頭を上げた。
 
 宮下の家にいた時は、仕事の時に共同で使っていたパソコンしかなかったし、連絡は仕事用の携帯電話しかなく、もちろん返却してきた。
 
 祖父たちは服装などは気にしたのだろうが、そこまでのことは考えなかったのだろう。
 しばらく無言の松前さんに、図々しいことを言ってしまったと焦っていると、小さく彼女が息を吐いた。

「佐渡先生は自分の目で見たものしか信じない方です」
「はい」
 よくわからないまま返事をすると、彼女は私をジッと見た。

「天音さんに関わることは、私が全権任されています」
 その真意がますますわからなくなってしまう。首をかしげていると彼女はにこりと笑った。

「すぐにご依頼の物は手配をいたします。差し出がましいことをお尋ねいたしますが、宮下のご自宅には帰られますか?」
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