誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 もし帰らなくて済むのなら、それはとても嬉しい。しかし、このまま世話になった人たちに挨拶もしないなど不義理はできないし、両親の遺影や少しの荷物は取りに戻りたい。

 キュッと唇を噛んで悩んでいる私に、彼女は何かタブレットを操作する。
 そこへ扉がノックされ、先ほどの女性が入ってくるのが分かった。手にはサンドイッチや軽食が乗っていた。

「天音さん、これを食べたら宮下家に参りましょう」
「え?」
 意外過ぎるセリフに私は今度こそ目を丸くした。

「私は自分を信じてます。あなたは円花さんとは違うと感じました」
 その優しいセリフに私は耐えきれ涙が零れ落ちた。そんな私に松前さんがハンカチを渡してくれる。
 泣きながら食べたサンドイッチはとても美味しくて、久しぶりに笑った気がした。

 その後、松前さんとエレベータを降り、エントランスへ出れば車が用意をされていてた。
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