BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
「僕が送って行って大丈夫ですか?」
車には乗せたものの、だんだん不安になって聞いてしまった。

ご主人だって、俺は顔を合わせたくない相手に違いはないだろう。
しかし、彼女の答えは本当に意外だった。

「大丈夫です。私一人暮らしなんです」

一人暮らし?
俺の驚いた表情を読み取って、彼女は話し出した。

「奏太の死後、私は引きこもりみたいになって、1年後に主人とは離婚しました。主人は再婚しましたけれど、私は1人のままです」
「そんな・・・」
何とも言葉が出てこなくて、罪悪感に押しつぶされそうだ。

「先生の責任ではありませんよ。少なくとも夫婦の問題は私とあの人の責任ですから」

ハッキリとものを言う彼女は、なんだかあの頃と印象が違う。
以前は、おとなしそうなお母さんの印象だったのに、今は凜々しささえ漂う。
きっと奏太の死が彼女を変えたんだろう。

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