BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
「よかったら、コーヒーいかがですか?」
不意に、警官が立ち上がった。

この状況で?
鈴子と顔を見合わせる。

私たちの返事を待つことなく、警官はコーヒーをいれに部屋を出て行った。

無言の会議室。
なんだかとても居心地が悪い。

「嫌がらせは今日が初めてじゃなかったの?」
鈴子が顔を覗き込む。

「うん。2か月くらい前から、時々書き込みがあったの」
「えー。なんで言わないのよ」
「ごめん。心配すると思ったし、それにまず調べてからと思って」
言いながら、チラチラと亮平を見る。

そもそも書き込まれた内容のほとんどは私のプライベートで、誰でも知る内容ではない。
私の身近な人間。それも過去を含めて私を知っている人にしかわからない内容もあった。
それなのに、一番非難しやすいはずの奏太のことには一切触れない。
これは、嫌でも亮平を疑ってしまう状況だ。

書き込みが始まって半月経った頃、私は亮平に連絡した。
書き込まれた内容を伝え、
「心当たりはないの?」
と聞いた。
もし、亮平自身がか関わっているのなら止めてくれるだろうし、身近な人間がやっているのであれば止めさせてくれるはず
そういう意味で、彼なら穏便に解決してくれると信じている。
その後、亮平から『少し時間が欲しい』と連絡があった。その言葉を信じて、私は待っていた。
< 26 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop