BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
俺はベットから出るとスウェットを着込んでリビングに向かう。

「明日鷹の彼女のこと聞きたい?」
ニタニタしながら、宝の顔を見る。
「何よその顔。そんなに面白い話?」

まあ、面白いと言えば面白い。
あの、どんな女を連れて来ても興味を示さなかった明日鷹が恋してるなんて、

「1人で笑ってないで教えてよ」
「歳は25歳。明日鷹についている研修医だよ」
「へえ、若いのね。10こ下かあ。で、どんな子?」
「どんな?」
「うん。あの明日鷹が好きになった子なんでしょう?興味ある」
珍しく笑顔の宝。

「うーん。容姿は普通。医者になるんだから頭はいいんだろうけれど、不器用で、天然。でも、性格はいいと思う。人のためなら、自分の損得考えずに飛び込んでしまう子だから。知り合いにはいいけれど、彼女とか身内にはしたくないタイプだな」
俺の感じたことを口にしてみた。

「明日鷹は彼女が放っておけなくなったのね?」
分かったようなことを言う。
確かに、簡単に言うとその通りなのだが、そう単純な話ではない。

「宝」
ちょっと真面目な顔になって呼んだ。
「何?」
不思議そうな顔をする宝。
「彼女、今ちょっとトラブルに巻き込まれていてね。自宅謹慎中なんだ。明日鷹も色々弱ってるから、気を遣ってあげて」
なるべく言葉を選んで言ってみた。

「分かったわ」
それ以上は何も聞かない。
俺はそんな宝が好きだ。

午前7時。
宝はいつもより早く家を出た。
自分の身支度もしながら、いつも間にか俺の朝食まで用意していた。
ベーコンエッグに、付け合わせの温野菜。トマトジュースと病院にも持って行けるように多めのおにぎり。
周りから見れば本当によくできた嫁だ。

俺と宝は2年前からこんな生活をしている。
しかし、出会ったのはずっと前。
今から10年ほど遡る。
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