モテ基準真逆の異世界に来ました~あざと可愛さは通用しないらしいので、イケメン宰相様と恋のレッスンに励みます!
第十四章 異世界で成長できました

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 その後、グレゴールと私は、晴れて結婚式を挙げた。王太子夫妻が挙式したのと同じ、大聖堂である。その日は朝から晴れ渡っていて、天も祝福してくれているようだった。

(新婚生活は、とっくに始まっているけれど。やっぱり結婚式って、感慨深いわ……)

 グレゴールに腕を取られて聖堂を後にしながら、私はしみじみと思った。

 あの後王都へ戻ると、驚いたことに、本邸は完全に模様替えされていた。私の寝室は、グレゴールの寝室の隣に設置されていた。メルセデスとヘルマンによる、早業である。そんなわけで、挙式前にもかかわらず、私たちは完全に夫婦として暮らしていたのだ。

「ハルカ、おめでとう! 素敵なドレスね」

「アクセサリーやネイルも素敵だわ」

マリアとアンネは、駆け寄って来ると、口々に褒め称えてくれた。

 ウェディングドレスは、私の念願だった純白である。王太子夫妻の結婚式の際に、私が漏らした言葉を覚えていたグレゴールは、最高級のシルクとレースをオーダーしてくれたのだ。

 ネイルは淡いオレンジで、白い花がアクセントに付いている。私のおかげでキャリアアップできたと、元劇場のメイク担当者は、たいそう張り切ってくれた。

(でも、何より嬉しかったのは……)

 私は、胸元のネックレスを見つめた。そこには、グレゴールから贈られた、ガーネットが光っているのだ。美しいオレンジ色である。

『初めて劇場で爪を飾った時、オレンジ色はお前によく似合うと思ったのだ』

 グレゴールは、そんな風に言った。宝物にしようと、思っている。

 礼を述べると、マリアたちはそわそわし始めた。

「ね、やるのよね?」

 彼女たちの目当ては、ブーケトスである。ええと答えると、アンネは拳を握りしめた。

「絶対、キャッチするわよ! 王太子妃殿下からブーケをいただいたのがハルカで、そのハルカは、イルディリア王国一の有能宰相様と結婚したのだから。その次も、絶対に御利益があるはずよ」

「あら、キャッチするのは私よ」

 即座に言い返した後、マリアは首をかしげた。

「メルセデス様、参加なさらないみたいね。こういうことは、ご興味が無いのかしら?」

 メルセデスは、遠方から私たちをにこにこと見守っている。彼女の隣には、クライン公爵の長男・アルノーの姿があった。公にはしていないが、二人は正式に婚約したのだ。近々彼女は、生まれ育ったハイネマン家を出る予定である。

『新婚夫婦のお邪魔虫になりたくないのよね。でも、ハルカには会いたいから、また遊びに来るわよ』

 婚約の理由を、メルセデスはそんな風に語っていたが、内心はまんざらでもなさそうである。案外、ツンデレらしい。

「ハルカ、盛り上がっている所を悪いが、少しいいか」

 そこへ、グレゴールがやって来た。

「クリスティアン殿下から、急なご指示があった。この後、王宮まで来るようにと。ハルカ、お前も来てくれ」

「私も、ですか?」

 何事だろう、と私はきょとんとした。クリスティアンとマルガレータからは、過分なほどの祝いの品を、すでにいただいているのだけれど。

「俺にもよくわからないが……。取りあえず、急ぐように」

 言いながらグレゴールは、早くも踵を返したのだった。 







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