浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

アレックスは料理上手

 書斎で話をした内容をふと思い出した。

 もしかして、これらの料理はわたしのことを想って作ってくれたのかしら。

 って、そんなわけはないわよね。あくまでも食べる人のことを想ってであって、それ以外の他意はない。

 あら?

 わたしって何を期待していたのかしら?

 自問自答した内容に驚いてしまった。

「口数が少ないけど、もしかしてまだ余韻に浸っているとか?」

 テーブルの向こう側で、アレックスが不思議そうな表情をしている。

 テーブル上のキャンドルスタンドで、三本のロウソクの炎が揺らめいている。そのささやかな光が、いい雰囲気を醸し出している。

 アレックスの美貌にやわらかい笑みを認めた。


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