浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

キメて去る

「これは、コメディ小説か?笑いすぎて腹が痛いよ」
「アニバル様、笑いすぎです。殿下もお嬢様も真剣に違いありません」
「カルラ、だからこそ笑えるんだ。そういうきみだって、ほら、目尻に涙がたまっているぞ」
「まぁアニバル様、イヤですわ。指先で涙を拭ってくれるなんて、照れくさいです」

 いったい、なんなの?

 アニバルとカルラったら、こんな緊迫のシーンでいちゃいちゃしちゃって……。

 もっと真剣に、緊張感を持って敵に立ち向かうべきでしょう?

「とにかく、話はそれからよ」

 アニバルとカルラのことがちょっとだけうらやましく、ではなくって不謹慎だとプリプリしながらベレー帽の男に言った。

「はああああ?それからって、どういう意味だ……」

 ベレー帽の男(かれ)がすっとぼけたことを言いきる前に、言葉を続ける。

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