キスだけでは終われない

彼女の祖父は俺が会いに来たこと事態が、予想外だったのか訝しげな顔で見られた。

「こんにちは。私は須藤ホールディングスの須藤柾樹と申します。この度はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます」

挨拶をして腰を折る…が、相手にしてみたら俺は招かれざる客だったようだ。

「須藤の孫が私に何の用があるというのかね」

なんとも冷やかな言い方に次に言おうとしていた言葉を飲み込みそうになる。

「単刀直入に聞きます。会長が香苗さんの相手として片山修一さんを選ばれたと…」

「そうじゃ。でも、最終的に伴侶として選ぶのは香苗自身なんでな。わしは機会を作っただけだ」

仕事の話ならここまで緊張することはないのだが…そんなことを思いながら、カナへの気持ちを伝えた。

「いきなりで驚かれると思いますが、香苗さんと結婚させてください。私は香苗さんを愛しています。今日は私を彼女の夫として認めていただくために来ました」

いきなりすぎたことは重々承知しているが深く頭を下げ、頼むことしかできない。

「香苗から付き合っている男はいないと聞いていたが?お前が香苗を愛しているとはなぜだ。何故、香苗はお前のことを何も言わなかった?」

彼女との馴れ初めと俺の気持ちを伝えたが、彼女のお祖父さんの反応はあまり良くなかった。
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