キスだけでは終われない

『連絡待ってます』

「これ…どうしたの?」

「お店の子が私のところに持ってきてくれたの。あの服は私が買ったものだし、ショップでは購入者を調べて連絡すると答えていたみたいだから」

「…そう…だったんだ…」

「だから昨夜電話したんだけど、ずいぶん悩んでいるみたいだったから、顔を見て直接話したほうがいいと思ったのよ」

「で、でも…修一さんと今のままでは連絡なんてできないよ」

「まぁ、片山さんとお友達だったのは計算外よね」

「そうなの。私のことで二人が友人でいられなくなったりしたら嫌だし」

「どちらとも話してみることが大事だと思うよ。みんな大人なんだしさ」

もう一杯紅茶が飲みたい、というアヤちゃんからのリクエストで、今度はマサラチャイを淹れた。スパイスの香りとミルクの甘みが、苦しさに疲れていた心の中にしみていった。

アヤちゃんに話を聞いてもらい、自分の気持ちはどちらに向いているのかわかった。

テーブルに置かれた名刺を見つめ考える。

「自分で動かなきゃダメよね…」

「カナ、あまり悩まずに素直になればいいんだよ。じゃあ、明日も仕事だし、そろそろ帰るね。ごちそうさまでした」

「あ、うん。いろいろありがとう。」

修一さんと連絡を取ろう思うものの、忙しいだろうと考えると私から電話をすることは憚れた。

修一さんも忙しいのか電話ではなくメッセージでの連絡になっていた。

「やっぱり会って話さないといけないんだろうけど…なんて話したらいいのかしら…」

メッセージでは日本に戻ってきたら電話をくれることになっているけど、来週の土曜日に帰ってきて、すぐだときっと疲れているはずよね…。そんなところにする話ではないだろうし、いつならいいのかな…。

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