キスだけでは終われない
「カナが高校生くらいの頃にスタジオで男に襲われてたことがあっただろう、あの時助けたのは俺だよ。それとここ横浜で再会した時に二人組の男たちから君を助けたのも俺。覚えてなかった?」
「高校の時のことはあまり覚えていません。でも今年のは覚えてます。あの時の人が須藤さんだったんですね」
「やっぱり俺だってわかっていなかったのか。シンガポールで会った時の態度が初対面って感じだったもんな」
「シンガポール…」
車はどこかの建物の地下に停められ、柾樹がドアを開けた。
「降りて」と言って手を差し伸べてくれるので、手を出すと柾樹は私の手を握り、車を降りる。
近くのエレベーターに乗り、慣れた様子で67階のボタンを押す。上昇していくエレベーターの中は二人きり。手を握られたままの私は緊張していて、心臓の音が聞こえてしまうのではないかと思うくらいドキドキしていた。最上階に着くと扉が開き、降りると部屋の前で柾樹が解錠し中に入る。
部屋に入ると彼はすぐの壁に私を押し付けて唇を合わせてきた。