キスだけでは終われない
二人になったところで何を話したら良いのかわからない。こんなに緊張することは今まで経験したことがなくて困っていた。
「とりあえず歩こうか。向こうに車を停めてあるんだ」
「はい。…あの…あの時は何も言わずに逃げ出してしまって…ごめんなさい」
「いや…」
口数が少ないのは怒っているからなのかな?
柾樹の車が置いてある場所に着くと、彼はスマートに助手席のドアを開けてくれた。車に乗りシートベルトをしめる。彼も乗るとエンジンをかけ、車は走り出した。
「今日は時間は大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
会話が続かなくてずっと緊張状態が続いている。私は窓の外の景色を見ていた。車は順調に進み、気がつけば見覚えのある建物の横を通り過ぎる。
「ここって…」
「俺たちが再会した横浜だよ」
「再会?」
「そう、俺たちは何年も前に会ってたんだ。覚えてない?」
何年も前なんて記憶にないので、首を横に振る。