キスだけでは終われない

お店を出て二人で駅までの道を並んで歩いていると、空に右側の輪郭だけがくっきりとした月、クレセントムーンが見えた。これから満月に向かっていく月が導いてくれるものはなんだろうと考えていた。

「どうかした?」

月を眺めていて無口になったことを疑問に思ったのか、声をかけられた。

「月が…。綺麗な三日月だな…って思って」

「あぁ…本当だ。細く輝いてるね」

しばらく二人で月を眺めていると思い出したように話しかけてきた。

「本当に香苗さんが可愛くて心配になる」

「そんなことないですよ。私全然モテませんから」

「でも、さっきもナンパされていたろう。すごく心配になる。他の男に触られているところを見て無性に腹が立ったんだ。もう少し自覚した方がいいよ」

怒っているようなのに心配だと言う、彼の真剣な眼差しにドキッとしてしまう。きっと私の顔は赤くなってるよ。だってすごく熱いもの…。

そんなことを考えていたら、彼も照れているのか心なしか顔を赤らめているようで、恥ずかしくなってしまった。
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