キスだけでは終われない
「僕の周りには打算的な女性が多くてね。見た目や肩書きにつられてくるような女性に辟易していたんだ。だから、僕自身もこんな感じは初めてなんだよ」
「あの…私、もし結婚って話になるなら、その人のことを好きになってから、きちんと恋をしてからがいいと思っているんです。でも…どんな気持ちが恋なのかも想像出来ていなくて…」
「子供の頃に初恋とか、そういうのもなかったの?」
「うーん……。あの…男性が苦手だったのもあって特にはなかったかと。なので、旅先で親切にしてくれた人に付いていったりしちゃったんでしょうね」
飲み慣れないワインで少し酔っていた私は慣れない話題に戸惑い、余計なことまで話してしまった。
「付いていったって、一人旅だったんでしょ。その親切にしてくれた人って男だったってことだよね?」
少し不機嫌そうな感じで聞かれ、慌ててしまう。
「あっ、えっと…はい」
「どんな男か気にならない訳ではないけどさ、その人とは今でも連絡してたり…ってことはないよね?」
「もちろんです。連絡なんてしてません。連絡先だって知りません」
少し不機嫌気味に聞かれて、手を横に振りながら慌てて答える。だって本当に連絡先も知らないし…と思っていると、ため息が聞こえた。