冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
女性たちの中には、アンドレアに〝今夜の相手〟として引き抜かれる子もいるのだろう。そしてベッドで過ごしたのちに王宮の方に戻る、と……。

ミリアは、そんなこと全然ショックじゃない。

なので、端でもいいので女の子たちの輪に加えていただけないだろうか。

(あ、やばい。想像したらもっと寂しくなってきた)

というか、虚しい。

朝食後の食器を下げつつ、紅茶を淹れてくれた侍女たちの動きを眺めながら、ミリアは口の端から流血のように紅茶がもれそうになった。

目の前の侍女たちが、仕事の会話をしていることすら羨ましい。

今日も今日とて、夫になったアンドレアは、女の子たちとウハウハで楽しいお喋りをするのだろう――。

その一方でミリアは、夜になっても引き続き一人でぽつんと過ごすのだ。

(うおぉぉぉっ、お喋りしたい誰かとお話したいぃぃ!)

つい、ティーカップを置いてテーブルを叩いてしまった。

目の前に三人残っていた侍女たちが、びくっとした。

「姫、大丈夫でございますか?」

彼女たちは、第二王子の妻にと寄こされた侍女たちだ。離宮用の侍女だけでも三十名はいて、全てミリアが好きにしていいという。

しかし侍女であるミリアとしては、畏れ多いことだ。

(さすが王族……)

「朝食で、何かお口に合わなかったものでも?」

「え? あっ、ううん――いえ、大丈夫ですわ! おほほほほほっ」

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