冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
食後、花は侍女たちによって窓辺に移動された。その光景は、室内を明るくしてくれるようで一人いる空間も楽しくなってきた。

(もらってよしとしよう)

ひとまず開き直ることにした。それは、このあと楽しみが待っていたからだ。

(よし、行くぞ!)

侍女たちが去って間もなく、ミリアは早速『胡蝶の間』を出た。

るんるんと足が弾むのは、お喋り相手がいるからだ。もちろん彼女が向かったのは、離宮の美しい庭を挟んだ正面にある二階建ての本殿だ。

「おはよう! みんな今日もげん、き……?」

扉を開け放ったら、そこには意気消沈でもしているみたいに、床に座り込んでいる男たちの姿があった。

「どうしたの?」

「……なぁ、ミリア」

カイたちが、困惑極まった顔でミリアを見てくる。

崩れ落ちてそのまま、といった感じの坐り姿勢も雰囲気を境地要しているのか、視線も二割り増しで気持ち悪く感じる。

「何? なんか質問があるなら言ってよ」

「……俺らってさ、そんなに可愛くないか?」

「……は?」

唐突な問い掛けで、ミリアはアホを見るような目をしてしまった。

それにも反応できないくらい彼らは困惑しているらしい。先程からやけに反応が遅い状態のまま、彼らが揃ってほろりとした表情になった。

「俺らに、ヅラをかぶるなという命令が出た」

なんだ、そんなことかとミリアは思った。

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