秋恋 〜愛し君へ〜
次の日、俺は申込書を提出するためレストラン部事務所にやって来た。
ドアを開けようとした時

「秋ちゃん何してますの?」

勇次が声をかけてきた。

「おう、お前こそ何やってんだよ」

「決まってますがなぁ、海外研修のモ・ウ・シ・コ・ミ」

「じゃあ、お前もクリアしたの?」

「お前もて、お前もかいな」

「まぁな、805。ギリギリだけど」

「ほな俺の勝ちや!810」

「なんだよ5点しか違わねーだろ」

「はいはい秋ちゃんよぉ、勝ちは勝ちでんがなぁ」

勇次は舌を出した。ふざけた態度ムカつく。でも、俺はやっぱり許せてしまうのだ。なぜなら、勇次だから。

俺がドアを開けると陽子さんがいた。

「あら、二人揃ってどうしたの?」

俺たちはほぼ同時に申込書を差し出した。

「これって、あなた達…」

「よろしくお願いします」

俺がそう言うと

「わかったわ、確かに預かった。さぁ、また忙しくなるわね、中核二人いっぺんに抜けられちゃうと」

「ほな俺ら…」

「私が支配人の推薦を取るわ。出発まであっという間よ。どこになるかわからないけど準備はしといてね」

「はい!ありがとうございます!」

二人揃って頭を下げた。

「二人ともしっかり勉強してらっしゃい。世界はうんと厳しいわよ。覚悟しときなさい」



まもなく俺達の研修先が決まった。
俺はシンガポール、勇次はロサンゼルスだ。
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