ねぇ、放さないよ?
真実~玄琉 side~
有愛を初めて見たのは、僕が大学三年の秋。

美里愛のことは、大学入学当初から知っていた。

“物凄い美人がいる”と友人達が噂をしていたからだ。


しかし僕は、全く興味がなかった。
美人だから、なんだというのだ。

大切なのは、美人かどうかじゃない。

愛せるかどうかだ。


そんな時だった━━━━━━━

講義が終わり、帰ろうと門をくぐろうとしていた僕。

澄んだ、綺麗な声が耳に響いてきたのだ。


「お姉ちゃーん!」

思わず、声が聞こえてきた方を見た。


そこにいたのが、当時高校生だった有愛だ。


僕の中の、全神経が彼女に集中したのだ。


「有愛!
どうしたの?」
「近くまで来たから、一緒に帰ろうと思って!」

「そっか!」
「お姉ちゃん、帰ろ?」


(あ、角井 美里愛。
角井の妹か……!
へぇー)

その日から、僕の有愛を手に入れる為の計画が始まったのだ━━━━━━━

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