Diada de Sant Jordi ~サン・ジョルディの日に芽生えた恋~
東尋坊と水族館のデートが終わり、家の前に着いても、私たちはまだあれこれ話し続けていた。

全く深い話などではないのに、どうしてこんなに楽しいのだろう。

次の約束というと、いつ東京に戻ろうかという話。

「イタミンが特に地元に用がないなら、早めに東京戻ろうか?東京のほうが、お互いすぐ近くだし、家族に気兼ねせずに会えるじゃない」

さりげなくそう言うと、イタミンは一瞬黙ってしまい、私は思わず彼を見つめた。

「イタミン…どうしたの?」

「ん?いや…なんか、エルちゃんのほうから、そんな風に言ってくれると、凄く嬉しいのに、勘違いしてしまいそうで、ダメだなって…」

イタミンの少し寂しげな笑顔に、私まで切なくなる。

「あのね、イタミン」

「ん…?」

「私…思わせぶりだとか、焦らそうとしてるつもりは全くないの。ただ、どうしても自分自身のことにも、自分の気持ちにも自信がなくて、何だか怖くて、結果的にイタミンを苦しめてるかもしれない…」
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