Diada de Sant Jordi ~サン・ジョルディの日に芽生えた恋~
そう言うと、思わず俯いてしまう。

「エルちゃん、顔あげて?」

顔をあげて、イタミンの優しい瞳を見つめる。

「僕のことは気にしなくていいよ。無理されるほうが、僕にとってもつらいから。ゆっくりでいいし、どうしても僕じゃダメだったら、そのときはそのときで…」

「みなまで言わないで…!」

「エルちゃん?」

「わかってる、勝手なことは百も承知なんだけど、悲しい言葉は聞きたくなくて…」

イタミンは黙って私を見ている。

「あ…それより、帰る日の日程調整しよう?」

そう言うと、イタミンはいつもの優しい笑顔で、時刻表を捲り始めた。

「じゃあ…明後日、名古屋駅で待ち合わせでいい?」

「うん!」

いつも、こうやって別れ際に次の約束をすると、とても安心している自分がいる。

今日もまた【水道110番】の車を見送ったあと、部屋に戻ると、早めに荷造りを始めた。
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