サンタクロースの贈り物(クリスマス企画)

僕の、血筋…か。



母親なんて呼ぶのもおぞましい女の実家が、僕を担ぎ上げるということか。



あの女は、何年も前に死んでいるというのに…。



以前、あの家の執事に打診されたときには「蒼の家と関わらない」と言ってあるはずだ。



とりあえず、当主に会って話を聞くしかなさそうだ。



切ったばかりの電話を、再度かける。



「国府(コウ)の伯父様、柾樹です。

突然で申し訳ありませんが、明日お伺いしてもよろしいでしょうか?」



さすがに夜も更けてきて、今から向かうわけにはいかない。



翌日、僕は約20年ぶりに国府の屋敷の中に入った。



「執事さんは、お仕事ですか?」



出された不味いお茶を頂きながら、僕は当主に尋ねた。



ここの執事は有能で、家のことだけでなくビジネスにおいては右腕を務めているという話だ。



「そろそろ戻ってくるとは思うが、彼の淹れたお茶を区別できるところはやっぱり親子だね。」



この顔だけじゃなく、そんなところまであの女と似ているのか…。



僕は、憂鬱になった。



「柾樹くん、どういった風の吹き回しかね?

大嫌いな母親の実家にいきなりやって来るなんて…。」



「昨日から僕の妻がそちらにお邪魔していないかと思い、参りました。」



「なぜ、ここにいると?」



「僕を蒼家の跡目に据えて、美味しい汁を吸うため…でしょう。」



「妹が亡くなった後、蒼家とはあまり交流がないのだが…。

もし柾樹くんを跡取りに据えたら、面白そうではあるな。」



僕は、面白くない話を聞きに来たわけじゃない。










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