サンタクロースの贈り物(クリスマス企画)
執事が戻ってきたのと同時に、当主が席を外した。
単刀直入に梨香のことを聞いたのだけど、僕の意向を尊重している彼は知らないようだ。
国府の家の者が犯人と決め付けて乗り込んだのは、早計だったか…?
ふと気がつくと、僕と向き合って話をしていた執事がドアのそばに張りついてた。
そして、彼がドアを思いっきり引くと…。
廊下から、2人の男が部屋の中に転がり込んできた。
聞けば、執事見習いだとか。
「まさか、奥方様を誘拐したのは…お前たちの仕業か!?」
「す…すみません!その坊ちゃんを跡取りに据えたいと旦那様のご命令で…。」
「旦那様は?」
「お出かけになられました。
蒼家のパーティーに合わせて誘き寄せるつもりだったのに、早々と乗り込んでこられて計算が狂ってしまいましたので…。」
「逃げたか…、この分では蒼家のパーティーが終わるまでは戻らないでしょう。」
執事が、溜息をつく。
こともあろうに、見習いたちは「誘拐なんて人聞きの悪い、丁重に車に乗っていただいた」と言いやがる。
その言葉に、執事がキレた。
「お前たち…鍛え直してやる!
道場まで来い!!」
「僕も一緒に、根性叩き直してやっても良いですか?」
「柾樹様、剣道を続けていらしたのですか?」
「この前、7段を取ったばかりです。」
「では、あの者たちに稽古をつけた後、お手合わせ願えませんか?」
「望むところです。」
すぐに降参した見習いたちは置いといて、僕に剣道を教えてくれた国府家の執事との稽古は充実したものだった。