サンタクロースの贈り物(クリスマス企画)
梨香サイド 2
「ラブレター取っておくってことは、そのコのこと…まんざらでもないってことでしょ?」
家に着いて、私は柾樹さんを問い詰めた。
柾樹さんは例のスポーツバッグを押入れから出すと、チャックを開けた。
バッグの中には、大量のラブレター…って、何なのこれ!?
「梨香の目に入れたくなかったし、捨てるタイミングが掴めなくて…さ。」
で、結婚して7年もの間、始末に困って隠してたということ?
「じゃあ、今捨てていいよね?」
私はゴミ袋を取り出した。
「このまま捨てたら、あの家のダンナは生徒からラブレター貰ってるって近所に知れ渡るだろう?」
「原型、留めなきゃ良いでしょ?」
私はそう言って柾樹さんにハサミを渡すと、目の前のラブレターを手で細かく千切り始めた。
ビリビリ、チョキチョキ、部屋の中はそんな音だけが響く。
「先生、知ってる?」
「何を?」
「近所の奥さんたちが、ウチのポストにラブレター入れるの。」
「それは知らなかったな。」
「先生に黙って、全部捨てたの。
…ごめんね。」
「良いよ、別に。
僕が欲しいのは、梨香からのラブレターだけだし。」
あ、もしかしたら…。
私は柾樹さんの愛情が足りないって嘆いてたけど、私もちゃんと愛情表現できてなかったのかもしれないね。
ラブレター、書いてみようかな?