私たちの物語に、花を添えて
だけど、現実はそう簡単には上手くいかなくて。

「どうしたら、いいんだ」

今日から通う学校の通学路で、私は1人唇を噛み締めた。



「イラストコンテスト?」

入学式から1か月が経ったある日、新しく出来た友だちの言葉に、私は首を傾げる。

「そ。定期的にイラコン開催してるサイトがあるんだ。応募してみたら?知名度上がるよ、多分」

イラストコンテスト……考えたこともなかった。応募、してみようかな?

私は友だちにお礼を言うと、すぐにスマホを取り出して友だちから教えてもらったサイトを覗く。

「……私、応募してみるよ」

色々と応募方法やらを確認した後、私は友だちに向かって微笑んだ。



学校が終わった後、寄り道せずに家に帰ってきた私は、早速パソコンを起動させる。イラコンに応募するためのイラストを描くために。

構図は、授業中にたくさん描き出した。その中から良さそうなものをいくつか選んだから、ラフを描いてみよう。

色々と考えながら、絵を描くための準備を進めていく。

そして、液タブにペンを走らせた。

「……背景、青いバラにしよう」

背景を描いている途中、小さい頃におばあちゃんが教えてくれた青いバラの花言葉を思い出す。

青いバラの花言葉はーー「奇跡」「夢叶う」

いつか、イラストレーターになりたいという私の夢が叶いますように。

願いを込めて、私は背景に青いバラを描いた。
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