冷徹上司の過剰な愛
見ると、どこか苦しそうな表情をしている難波さん。



「……早く抱きたい。」



と耳元に唇を寄せた難波さんにドキッとする。


そのまま耳たぶを甘噛みされ、無意識に声がもれる。



「ん、…難波、さんっ……。」


「シー。声出すのはダメ。」



首筋を這うように唇を寄せるなんて意地悪だ。こんなことされたら声も感情も我慢できない。



「っ、…ダ、メ……、」



これ以上はもう……っ、…ほんとに。


難波さんの胸をそっと押すと、口角を上げた顔が視界に入り込んだ。



「お預け?」


「っ、お預けです。…意地悪ぅ。」


「ッフ。ごめんごめん。お預け喰らった僕はそろそろ帰るよ。」


「あの、難波さん…!」


「ん?どうした?」


「……明日、少しお邪魔してもいいですか?」


「構わないよ?いつでもおいで?待ってる。」



優しい笑みを残し、難波さんは帰って行った。


待ってる、なんて言われたけど、待つのはわたしのほう。お母さんのところに寄ったらそのままマンションに向かおう。そして、何か手料理でも振る舞おう。


と明日の計画を練りながら眠りについた。
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