冷徹上司の過剰な愛
「あの、難波さん…?」


「黙って着いて来て。」



なんて言われても…。だって難波さんは主役だし、そんな主役が居ないとなれば騒然とするんじゃないの?


そのまま連れて来られたのは難波さんのマンションだった。


正直、もうここに来ることはないと思っていた。だから、なんだか不思議な気分。


エレベーター内でも難波さんは何を言うでもなく、お互い無言で、この感じ…デジャヴ?…。


久しぶりに入った難波さんの部屋は相変わらず綺麗で、何も変わっていなかったけど……これってまずいんじゃない?


だって来週には行っちゃうのに荷造り一つしてない感じ…?え、難波さんってギリギリに準備する人だっけ?



「あのぉ、難波さん…?」



コーヒーを淹れる難波さんに恐る恐る問い掛けてみることに。



「荷造り…間に合いますか?」


「……荷造り?そんなのしないから。」


「え?、」


「ここ。無くなったら困るでしょ?」



とコーヒーを持って近づいてきた難波さんに首を傾げる。


それはどういう意味??わたしが困るってこと?…なんで??
< 223 / 230 >

この作品をシェア

pagetop