冷徹上司の過剰な愛
「舞子、ほらもう帰りなよ。どんどん遅くなるよ?」


「帰りがたいけど、今日は帰るね。久しぶりに彼とデートなんだぁ♪」


「じゃ尚更早く帰らないと。」



と舞子の背中を押すと、「お疲れ。また月曜ね!」とオフィスを出て行った。


…と、このように舞子の優しさはすごいのだ。


久しぶりに彼氏とデートなのに、わたしの仕事を手伝おうとしてくれるんだもん。優し過ぎだよね。


見えなくなった舞子の背中から次に向けた視線の先は難波さん。


スーツのジャケットに腕を通すところを見れば、どうやら難波さんも帰るようだ。



「蓮美、」



難波さんをガン見していると、背後から名前を呼ばれハッとする。



「ん、これ。去年のデータなんだけど、役に立ちそうだし使って?」



と渡された書類は今のわたしにはかなり有り難い。これこそ助け船!



「ありがとう有馬!すっごく助かるっ。」


「おう。さっさと終わらせて帰れよ?夜は冷え込むみたいだし。」
< 4 / 230 >

この作品をシェア

pagetop