星空なら、うまく話せるのに

「……」

 ふと、サンタさんの顔が浮かんだ。

 あの店を閉めてしまったら、もうサンタさんにも会えなくなってしまうんだ。

 私はいったいどうしたいいんだろ。これからのこともサンタさんへの想いも。サンタさんについて私は何も知らないのに。ただ、毎日紅茶店に通ってくれるお客さんで、少し話が出来るくらいで、見た目や話し方、物腰が柔らかくて……自分の好みだからか、その想いだけが大きくなっていっている。

 洗面台の鏡の中の自分を見つめた。あの時から2年も経つのに、今もまだ自分を愛せないでいる。まともに仕事も出来ない自分、弱くて、いつも愚痴ばかりで。きっとこんなだから彼も私にうんざりして浮気とかしたんだろう……。

 こんな私じゃ、今誰かを愛することなんて出来やしない。

「はあ……」

 大きくため息をついた。

 こうやって考えてしまうことが余計にネガティブになっているって分かってるけどさ。

 どうしていいのかもまったく分からない。

 ネガティブ思考はどんどん連なって、大きく、大きくなっていく。


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