星空なら、うまく話せるのに

「あれ、莉子さん!」

「え!?」

 突然呼ばれ振り向くと、たくさんの本を手にしたサンタさんが立っていた。

「サンタさん!」

 私の大きな声に、買い物しているみんなの視線が集まった。

 ああ、またやってしまった。ついつい大声で“サンタ”って呼んでしまう。

「ごめんなさい……」

「いえ、もう慣れっこですから」

 そう小声で言ったサンタさんの顔が、ほのかにピンク色になった気がした。

「サンタさん、どうしたんですか? こんなところで会うなんて」

「莉子さんのお店でこのチラシをいただいて来たので、一度この販売会に来てみたいと思っていたんです」

「そうなんですね~」

「莉子さんは、よく来られるんですか?」

「販売会には毎回来ています。おばあちゃんがここが好きだったそうで、私もなんとなく、ここに来ると落ち着くというか……」

「そうなんですね」


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