私の決意が弱いから、君は必死で支えようとする。

 メタバースの世界は無限だ。

 私はこのメタバース、LILIS(リリス)の中ではちょっとした有名人だ。

 これは私がLILISに本気に向き合うまでの話だ。


「森谷ガールズの娘らしいよ」
「え、でもさ、森谷ガールズっておかまだよね?」
「そうだけど、あの人の娘らしいよ」
「マジかよ。そしたら、誰が産んだんだよ。森谷のこと」

 3人組のまだ名前もわからない女子が、私のことをひそひそと噂している。新しいクラスはいつも居心地が悪い。クラス替えのときには必ず、噂される。

 高校3年生――。

 きっと、人生最後のクラス替えかもしれない。

 森谷ガールズは私の母、いや、私の父親だ。森谷ガールズは筋肉質で190センチの高身長、そして、ズバズバとした物言いで、芸能界でブレイクしたらしい。

 私が、物心ついたときには森谷ガールズは忙しい人だった。私の父、つまり私の肉体的な母親はそんな忙しい森谷ガールズと上手く行かなくなったのか、私が小学3年生のときに家を出ていった。

 森谷ガールズはそのときのことを未だに私に謝ってくる。

< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop