夫婦間不純ルール
「……で、具体的にどうするかとかは決めてるんですか? まだなら、ここで俺が考えてもいいですけれど」
「そうね、そこまで頭が回っていなかったわ」
正直な話、ここに来るまで夫の行動について探る方法までは考えてなくて。彼が密かに想っている相手についても何も分からないまま、衝動的に行動してしてしまっていた。
証拠も、情報も何もないのに岳紘さんの浮気について調べたいなんて無理難題もいいところかもしれないのに。
「良いですよ。俺、アイツがその女性とよく会っている場所を知ってますから。今度の木曜に雫先輩も、一緒に確かめに行きますか?」
「……木曜に、岳紘さんはその女性と会っているのね」
ハッキリと聞いてしまうと、胸がものすごく痛い。針で刺されるようなチクチクしたものでなく、ナイフで抉られるような激しい痛みが。
木曜日に岳紘さんが誰かと会ってるなんて知らなかった、彼はいつもと変わらない時間に帰宅していたから。それなのにこんな形で裏切られていたなんて、本当は聞かされたくなかった。
「どうします? 辛いのなら無理にとは言いませんが……」
あくまで決めるのは「私」と言うように、奥野君はそれを強制せずにこちらの返事を待っている。確かに迷ってるのも事実だけど、ハッキリさせたいという気持ちもあって。
「私も行くわ、この目でちゃんと確かめたいの。夫が誰と何をしているのか、そしてどんな女性を愛しているのかも」
「……じゃあ、決まりですね」