夫婦間不純ルール
「言葉にしなきゃ不安なら、ちゃんと言いますよ。だけど、それは全部が終わってからじゃないと駄目でしょう?」
なぜ奥野君はこんなにも私の事が分かるのだろう? 可愛げが無くて表情だって乏しい方なのに、ちょっとした心の変化にも気付いて求めてる言葉をくれる。
もしも……そう、もしも結婚した相手が奥野君だったら私はこんなに悩まなくても済んだのだろうか? 愛が欲しいと素直に言うことが出来たのかもしれない。
だけど、やっぱり私が想うのは夫の岳紘さんでしかなくて。そのことが余計に自分を苦しめる。
「そこに私の気持ちが無くても、奥野君のその想いは変わらない? 返してもらえないのに与え続けるだけで、本当に貴方はそれでいいの?」
「……そういうの、慣れてますから」
悲しい言葉、そうなるまでに彼はどれだけ自分の想いを押し殺してきたのだろう。私だけでなく、それはきっと今の奥さんに対しても同じ気持ちなのかもしれない。
あの時の二人は、あんなにも仲良さげだったのに……
「少し前の週末、あるホームパーティーに参加すると話したでしょう? あの時、奥野君達を見たの。まさか貴方の奥さんが、あのヘアメイクアーティスト『REIKA-OKU』だとは思いもしなかったけれど」
「彼女は有名ですからね、俺もあまり公言はしてないんです。下心丸出しで、近寄ってくる奴も少なくないですから」
その言葉に、奥野君の奥さんに対する愛情と思いやりを感じる。彼なりに妻を守ろうと頑張っているのが、伝わってきて。正直、少し羨ましかった。