僕たちの関係「共犯者」
昨日夜遅くまでゲームをしていたこと、そしてこの暖かさに眠気が込み上げてくる。だが、入学式はまだ始まったばかりだ。今から入学生代表の挨拶が始まる。

「代表、琴結月(ことゆづき)」

司会者が生徒の名前を呼ぶと、「はい」と玲瓏な声が響く。それほど大きな声ではなかったが、空の耳にはっきりとその生徒の声は響いた。

一人の女子生徒が立ち上がる。ホクロ一つない美しい白い肌に、腰ほどまである長い黒髪を垂らし、少し釣り上がった目に、血色のよい唇の可愛いと言うよりは綺麗な女子生徒だった。

笑み一つ浮かべることなく女子生徒ーーー結月は壇場へと上がる。まるで、平民たちの前に氷の国の美しい女王が現れたかのようだった。

(何だこれ……。心臓が、めちゃくちゃうるさい……)

壇場で淡々と結月は事前に考えてきたであろう文章を読み始める。その姿はとても美しく、しかし、彼女の瞳はどこか寂しげに見えた。

(この世界の一番綺麗なものをあの子にあげたい。あの子の心の中にある一番汚いものを僕が貰いたい!)
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