僕たちの関係「共犯者」
入学式などで壇場に立って話す校長先生の話が好きだと言う人は何人全国にいるだろうか。あくびをしながら青羽空(あおばそら)は思った。

今日は九条院高校の入学式だ。中学の学ランではなくネクタイを結んだ空は、今日からここで学ぶ。

ポカポカと暖かい日差しが差し込む体育館には、校長先生の長々とした話が続いている。そんな話を真剣に聞いている他の生徒たちを横目で見て、空は「さすが名門校。生徒たちは超がつくほどクソ真面目だな」と思いながらまたあくびをした。

空が入学した九条院高校は、東京大学や京都大学はもちろん、ケンブリッジやイェールなど日本のみではなく海外の名門大学へも数多くの生徒を進学させている名門校である。その勉強はとても厳しいことで有名だが、名門大学へ進めば将来の道は広がると入学させたいと思う親は多いのだ。

「皆さん、勉学に励み、有意義な高校生活を送ってください」

ようやく校長先生の話が終わった。他の生徒たちが拍手を送る中、空は「やっと終わったか〜」と思いながら目を擦っていた。
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