幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
ヘアアクセも一緒に購入して、商品は自宅発送の手配までしてくれた。
「隣のショップも見ていくか」
隣って…
「ジュエリーショップ?」
「せっかくだから」
「あ、これ」
「もみじだな」
「こんなのあるんだ」
「椛の花言葉は、調和、大切な思い出、美しい変化。ブライダルにはよく合ってるからな」
「自制、遠慮、もあるけどね」
「俺の課題だ。自制、効かなくなる。適度な距離を保たないと」
「貴晴さんはいつもクールじゃない。もっとはっちゃけてもいいと思うよ」
私が言うと、貴晴さんは吹き出す。
「そういうことじゃねー」
「ええ」
よくわからない。
けれど、お互いこれ以上追求する気もされる気もないので、ショーケースに視線を移す。
白に映え輝く、美しいダイヤモンドは眩しい。
ネックレスやピアス、エンゲージリングまで。どれもがラグジュアリーで、私には身に余る気がする。
もっと、大人の女性にならないと。
「貴晴さんは…こういうの、」
ハッとした。
私、今何を言おうとした?
「どうした?」
「う、ううん。ごめん、なんでもない」
貴晴さんは、こういうの、贈りたい相手がいる?
妻が夫に聞く質問じゃなかった。
仮にも夫婦。その質問に『YES』なんて答えるはずがない。
そんなの、分かりきったこと。
美しく煌びやかなリングから、目を逸らす。
私が身につけるには、やっぱり相応しくないと思った。