幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
がちゃりと玄関が開く音がした。
廊下に出ると、1ヶ月ぶりの貴晴さんだ。
「一椛。ただいま」
「おかえりなさい。貴晴さん。 わっ」
貴晴さんが私に抱きついてきた。
驚いて、数瞬固まったあと、そろりと彼の背中に手を回す。
「会いたかった」
「…私も」
変だ。そんなに長い間離れていなかったわけじゃない。
電話で声も聞いていた。
それなのに、私はずっと、この温度が恋しかった。
「好きだ」
きつい抱擁はそのまま、貴晴さんが囁くように言った。
ドキドキばくばく。顔が熱い。
「うぇえ!?」
急に、何を言い出すの!
「離れている間、思ったんだ。 こうして触れられる距離にいる幸せ。 伝えられる時に、気持ちは伝えておこうと」
真剣な声色で貴晴さんが言う。
ぎゅっと、私を抱く力が強くなる。