幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
「最近、よく一緒にいるのを見かける」

「み、三郷くんのこと? なんでかはわからないけど、懐かれちゃった、のかな」

「あいつだって知らないわけないだろ。一椛には俺がいるって」

また、今度は鼻と鼻がくっつきそう。
壁に腕をついて、右手は私の顎に触れる。

「ダメ! ここ、会社だから! ね!」

貴晴さんの肩をぐいと押す。
渋々といった感じで、彼は私から離れた。

「心配しなくても大丈夫だよ。三郷くんは別に、危害を加えようとしてるんじゃないと思うし…」

「な、危害なんか加えさせるかよ。 そうじゃなくてな、もっと危機感を持てって話だ。おまえは結構隙だらけなんだぞ。 今だって、荷物を運んだのが俺じゃなくて三郷でも、こうやってのこのここんな所までついてきて…」

閉じ込めたのは自分でしょ!
三郷くんはこんなことしないって!

私は貴晴さんを遮って、資料庫の鍵を開ける。

「とにかく、会社で接近禁止! 誰かに見られたら、今度こそ私出社拒否するよ!」

バタン、と扉を閉める。
私だって人妻だ。弁えている。
彼に誤解されるような行動は取らない。
だけど社内で、貴晴さんでもなければそんな修羅場イベント、起きないでしょうよ!

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