幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
貴晴さんは私と三郷くんを置いてつかつかと歩いて行ってしまう。
なんか、怒ってる…?

「ごめんね、三郷くん。ありがとう」

私は貴晴さんを追いかけた。

「ここでいいよな」

「え、あ、うん。大丈夫です。ありがとう」

資料庫にダンボール箱を置いて、貴晴さんは何食わぬ顔で出ていこうとするから、思わず声をかけた。

「た、貴晴さん…? なんか、怒ってます、か…?」

奥まった場所にあり、ここはほとんど人が寄り付かない。
私が持っていたダンボールの中身も、オフィスにあった古い資料なんかを片付けたものだ。

すると、ガチャンと扉が閉まった。
ご丁寧に鍵まで閉めたようだ。

貴晴さんは身体を反転させ、私を見据える。

そのままこちらに歩いてくるので、私は反射的に後ずさる。

「な、なに…」

無表情を貼り付けたままの貴晴さんに迫られ、とうとう背中が壁にくっついた。

資料庫は暗い。廊下の灯りが、ドアガラスから差し込むだけ。
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